こんにちは!
新入り内勤 チアキです。
これまで3回にわたって「マイ酒器のススメ 初級編」として、酒器のキホンをお送りしてまいりました。
そこで今回は、番外編。益やのスタッフへ突撃インタビューしてきました!
第1弾は、サケホール益やの敏腕料理人『スガちゃん』!
いろんなものを集めていると噂のスガちゃんのとびっきりの愛着のある"マイ酒器"見せてください!
チアキ:
今日はありがとうございます!
この企画なんですが、みなさんそれぞれ自分の酒器を持っていたりするけど、どんなものを持ってるかわからないから、改めて知りたいなーって思っていまして。
そこでスガちゃんに第1号になってもらいました。どうぞよろしくお願いします!
スガちゃん:
よろしくお願いします!
Q .早速ですが、いろんなものを集めていると噂のスガちゃんのとびっきりの「マイ酒器」みせてください!
スガちゃん:最初、酒器って聞いたときに思い浮かんだのは、やっぱり家に帰って飲むことが多いので…まずこれは日本酒用として使っているものですね。
チアキ:
このお猪口、すごいですね、牡蠣の殻みたいって思いました(笑)
スガちゃん:
これは兵庫丹波の「正元窯(しょうげんがま)」(*)というところのものなんです。
でも多分調べたらパン屋さんが出てくると思うんですけど。
チアキ:
え、パン屋さん!?
スガちゃん:
そうなんです、奥さんがパン屋をやっていて。すごい山の中にあるんですけど。
チアキ:
丹波って篠山とか?
スガちゃん:
そうです。そこの窯の作品です。もともと一輪挿しの壺みたいなのを作っているところなんですけど、それはちょっと高過ぎるので…(笑)
チアキ:
ちなみに失礼ですが、こちらのお値段は…?
スガちゃん:
実はこれ、母親の持ち物なんですよ。
自分で買うものはちょっとお店で使う想定で買うものが多いんで、欠けにくかったり、使いやすかったり、ちょっと値段が安かったりとか…そういうところで選んでるので。
これの値段がいくらかは知らないんですけど、恐らくまあまあするんじゃないかなあと思います(笑)
チアキ:
…しそうですね(笑)
スガちゃん:
これはすごい形がおもしろくて、この前のチアキさんのブログの酒器の形状の話になぞらえて話すと、この酒器って結構いろんなところから飲むとまたニュアンスが変わるっていう…そういうおもしろさがあるというか。
僕、結構手が大きいんで、持ったときにちょっと大きめのフィット感があるものを。そういうところで自分用のは、割と大きかったりしますね。
じゃあ酒器を選ぶときは大きさを重視しているんですか?
スガちゃん:
やっぱり器って買うときって、基本的にまず第一印象と、手に持ってみて〜とか。なんでもそうですけど、触ってみてなんとなくしっくりくる、ってのが一番ですね。やっぱり女性の力の強さと、男性の力の強さって違うし…。
一回持ってみて、男性の方が重みがあった方がいいとかっていう人もいますし、逆に軽いのがしっくりくるって人もいると思うんですけど。
チアキ:
なるほど!
(*)正元窯
兵庫県・篠山今田にある丹波立杭焼の窯元「正元窯」。
天然酵母のパンを販売している「ルーンカフェ」を併設されています。
Q .もうひとつ持ってきてくださった酒器も見せてください!
スガちゃん:こっちは沖縄ガラスのお猪口。特に作家さんの名前はわからないんですけど、これも日常使いで。
まあ工業用のものに比べたら雑なつくりで、気泡とかも入ってて…。なので、質的には少しランクが下がるというところなんですけど、これ完全手作りで、ちょっと分厚めで作ってるんで沖縄ぽいというか…そういう持ったときの重さがいいですね。
例えばお店なんかで結構よく使われている「うすはりグラス」。あれも、飲み口がサーッてお酒が入ってきていいんですけど、家で使うにはちょっと…。
チアキ:
わかります!どきどきしますよね(笑)
スガちゃん:
不安なんですよね。でもこれだと落としても絶対割れないっていう安心感とか。
チアキ:
(実際に触ってみて)ほんとに!めちゃくちゃ安心感ありますね。
スガちゃん:
家で使うものは酒器だけに限らず、少し分厚めのものが多いですね。これとかちょっと欠けても味になるんですよね、生地が分厚いものって。
チアキ:
そうか、そういう捉え方もできるんですね。
それと酔っ払ってきたら…なんとなく視野が狭くなってきたときに、すごいキラキラして綺麗なんですよ。
僕が好きなのが、(サケホール益やの)あそこの席のピンスポットの下にガラスの酒器をおいて写真撮るとすごいキラキラして綺麗なんです。これはそんな透明度ないんですけど、少しこうやった方が…なんか酔っぱらってきたら多分分かると思うんですけど(笑)少し回しながらとか…。
実際にやってみました。
確かにライトの色味と相まって、ガラスがより綺麗に映えました。
チアキ:
うわ〜、このうつわ、めちゃくちゃいろんな楽しみ方があるじゃないですか!
スガちゃん:
(笑)そういうのでも選んでます。
あと、今回は土物とガラスものを選んでみました。どっちかっていうと冷えているお酒はこういう清涼感のあるようなガラスで飲んで、熱燗とか飲む時はこの土のものを…。まあ厳密には決めてないですけどね。
でもこっち(正元窯の酒器)を手に取ることの方が多いですね。量が入るんで、ふたりとかで飲んでるとこっちの方が頻繁に注いでもらえるっていう…それもちょっとコミュニケーションのひとつですね。
チアキ:
わ!それいいですね。そんな奥深いこと考えはるんですね!おもしろいなあ!
Q .これら以外にも酒器って持っていますか?
スガちゃん:そうですね、20個くらい…。
チアキ:
え!20個も!?
スガちゃん家のおちょこラインナップ
スガちゃん:
酒器って結構安いんで、今は(コロナ禍で)やってないですけど骨董市とかでとりあえず買ってみるみたいな、そんな存在ですね。値段も3桁台からあったりするんで、割と買い易いというか。宝探し的な感じで集めていったりとか。
チアキ:
確かに、1万円2万円とかのうつわもありますけど…。
スガちゃん:
そうですよね、でもそういうのを買わないといけないっていう必要はないから、結構ハードルは低いと思います。例えばどこのうつわ屋さんへ行っても、アンティークの店やったら揃ってますし…値段も2,000円くらいで買い易いです。
酒器の扱い方の変化
チアキ:いやー、やっぱりわたしこれ(正元窯さんの酒器)めっちゃ好みですね。
スガちゃん:これいいですよね。狙って作れないからおもしろいですよね。どういう気持ちで作ったのかわからないですけど(笑)
作家さんも整形するときに最後ギュッて握ったんじゃないかなぁって、どうやって作ったんやろう?とかも考えながら…。今はすごい整った形のものもあるなかで、おもしろいですよね。
チアキ:
これって通常の洗い物と一緒に洗ってますか?いや、洗うときに気を遣うだろうなと思って。
スガちゃん:
そうですね。でも高いからといって使わないっていうのはもったいないというか…やっと最近高いものでも、ちゃんと使うようになってきました!
チアキ:
確かに!気に入って買ったのに、そのまま眠ってしまうのって勿体無いですもんね。そういう心がけ、めっちゃいいですねぇ。
スガちゃん:
…まあ割れたら相当ショックですけど(笑)
Q.いま狙っている酒器はありますか?
スガちゃん:
育てたいな、って。器を。
チアキ:
どういうことですか?
スガちゃん:
白磁…、白系の釉薬のうつわって何十年も使ってると、少しベージュというか色が濃くなっていくんです。日本酒も透明なものから熟成して色が琥珀色になりますよね。それと同じようなイメージで。
多分紫外線とかも当たっていって、食品とかの色素の沈着もあって、どんどんベージュっぽくなっていく…イチから育てる感じ、1個そういうのを買って…って考えてますね。
うわ〜、それすごくおもしろい!酒器の楽しみ方ってこんなにめちゃくちゃいろいろあるんですね。
ありがとうございました
スガちゃん:
でも僕より詳しい人はいっぱいいるとは思うので…それこそ藍さんの酒器とかも見てみたいですね。
はい!連載の最終回でお願いしようかなと思ってるんですよ!(ニヤリ)
スガちゃん:
どういうのものが出てくるのかおもしろそう!
チアキ:
そうですよね、楽しみにしててくださいね!
それでは今回はありがとうございました!
スガちゃん:
ありがとうございました!
▼マイ酒器に合うお酒を選んでいただきました!
左:福島県 仁井田本家「おだやか」
選んだポイント:ネーミングとグラスのイメージも合いますし、福島のお酒って角が立っていなくて味わいが丸くまとまっているものが多いような気がするんです。そんなイメージで選びました。
右:滋賀県 上原酒造「不老泉」
選んだポイント:沖縄ガラスのグラスとは異なって、こちらは見た目もゴツゴツとイカつい土感があります。そんなイメージなのがこのお酒です。コク味が強く、ゴリゴリした味わいと潔い余韻のまとまりが、この酒器と同じように長く付き合っていきたいと思わせてくれるんです。
インタビューを終えて
もともと、わたし自身の知識が乏しいため、自分の勉強も兼ねて調べたり学んだりしているものの、ほんとうに奥深く難しくて…。そこでまずは、まわりのひとたちに好きなものを語ってもらうことで、学びたいなという思いもあり、インタビューを敢行しました。
実際にインタビューを終えてみると、うつわ選びのポイントだったり、思いだったり…自分自身が器に対してこれまで気にしていなかった部分を知ることが出来、そういう視点があるんだ!とあたらしい発見がありました。
お話しを聞き進める中で、終始頷きっぱなしで、わたし自身も目の前の酒器に対して、徐々に愛着がわいてきたりもしました(笑)
今回のように身近な人が・身近なものを・身近で話してくれる、という機会はとっても貴重で勉強になるなと感じました。
さて、次回はどなたにお話しを伺おうかなぁ。