佐賀県・有田町で作陶する西隆行さんの作品は、益やのお客様にもファンが多く、入荷する度に即完売することも多いほどです。
そんな西さんの作風の一つに、釉薬の流れた表情が特徴の「SHIZUKUシリーズ」があります。
雫釉の器「SHIZUKUシリーズ」
透き通るような白さの磁土にかかった厚みのある釉薬は、まるで滴るしずくの時間を止めたかのようです。
陶芸の器にかかる釉薬は、窯の中で高温になると溶けて液体化し流れ出します。 そして窯の温度が下がると、流れた形状そのままに固まります。
それは窯の中で起こるドラマであり、人の意思が及ばぬところで生み出される自然の景色なのです。
流釉の酒器(お猪口と片口)
ぽってりとした雫釉に対し、こちらはゆっくりと下に流れ行くグラデーションが美しい、流釉の器たち。
重厚感のある深緑の流釉も。
いずれも釉薬のかかっていない土部分は磁器土が非常になめらかです。
肌質の美しい土をそのままを出すことで、厚みのある釉薬部分が一際引き立って見えます。
有田の伝統的なロクロ技術を基本に、これまた有田焼の特徴である磁器を用いて作陶されている西さん。
手で形成されながら、繊細な柔らかさを携えながらもエッジの効いた形状は、陶芸家を志される前に建築学科を出ておられるのを知ると納得するところもあるような。
菊小皿
こちらはタタラ作りの菊小皿です。
板状に切った土を手作業で型に打ち付け、その時に縁の部分が柔らかくたわむことで、それぞれに個性ある表情が生まれています。
釉薬の色は赤と緑。
一点ごとに釉薬のかかり具合、溶け具合が異なり、またベースの菊型の窪み部分への色の乗り加減も一つとして同じものがありません。そんな菊小皿の中から、ぜひお気に入りの1点を見つけてみてください。
オンラインショップの商品ページでは、ご自身でお選びいただけるよう詳細な商品写真を1点ごとに掲載しています。
西隆行さんの作品の基盤「有田焼」について
有田焼は、佐賀県有田町周辺の地域で焼かれた磁器の総称です。日本初の磁器として約400年前の江戸時代に誕生しました。
有田焼の特徴
焼き物は、大別すると土器、陶器、石器、磁器に分けられますが、有田焼は磁器にあたり、別名「伊万里焼」とも呼ばれます。
磁器の材料にはガラス質を作る(磁器化する)ための石の割合が高く、焼成温度も高いため、陶器よりも更に硬質な焼き物に仕上がります。
有田焼の原料には、現在は主に「天草陶石」が用いられています。
天草陶石は強度が高く、他の土などを配合する必要が無く、単独の陶石のみを使用して磁器を作ることができます。
もう一つの大きな特徴が、透き通るような白色の磁器が作れるという点です。このような透明感のある白磁は、器の表面に彩色する際のキャンパスに適しており、カラフルな絵付けの美しさが有田焼の特徴の一つでもあります。
西隆行 陶歴
2011年 有田窯業大学校卒業。
その後2年間同行の助手を務める。
その間に佐賀大学「ひと・もの作り唐津プロジェクト」に参加。
有田ろくろ研究会にて奥川俊右衛門氏に師事し轆轤を学ぶ
現在は有田町南山の工房にて作陶中。
受賞歴
第111回九州山口陶磁展 産業陶磁器部門 熊本放送賞受賞
2014年伊丹国際クラフト展 入選
第116回有田国際陶磁展 産業陶磁器部門 3位有田町長賞 など