益やの実店舗で使用している錫(すず)の徳利(とっくり)。
錫素材は熱を逃がしにくく、熱燗の需要が高い冬場は特に重宝します。
そんな熱伝導率の高い錫の酒器は、もちろん取手部分も熱々になります。
そのため、取手部分には持ちやすいように籐(とう)が巻かれていることが多いです。
ところが…
店舗では毎日のように酒燗器につける為、取手部分の籐が完全に取れてしまいました。これでは取手が熱くて持つのが大変です。
ということで、酒器の修繕に挑戦してみました。
錫の徳利に籐を巻くための道具・材料
- 籐(1.5mm幅)酒器1個に対して40cm程度
- 水を貼ったボウル
- カッター
- ハサミ
- マスキングテープ
- 木工用ボンド
※籐の太さは今回補修する徳利の持ち手部分がかなり細いため1.5mmのものを使用しましたが、持ち手によってはもっと太いものでも良いでしょう。
1:籐を使う分だけカットし、先端を細く削る
酒器の取手の長さに合わせて籐をカットします。今回は40cm程度にカットしました。
巻き始めの先端部分1cm程度が薄くなるようにカッターで削いでおきます。
2:籐を水につける
籐を巻きやすいように柔らかくするため、10分−20分ほど水につけておきます。
3:別の籐を2cmほどカットしておく
水に濡らしていない籐を2cmほどカットして準備しておきます。
これは巻終わりに使います。
4:巻いていく
籐を水から引き上げ、軽く拭いたら巻いていきます。
先ほど薄く削った先端部分を中に入れ、引っ張りながらきつめに巻いていきます。 隙間が開かないように注意して巻いていきましょう。
編んでいる途中に乾いていくため、時々濡れタオルで拭きながら水分補給をしてあげます。 乾くと硬く締まって作業しにくくなります。
5:余計な部分をカットする
最後まで巻けたら、長すぎる部分をハサミでカットします。 手を離すときは籐が緩まないようにマスキングテープで止めておきます。
いったん巻き終わりの部分を2-3周分緩めます。
6:巻終わりを薄く削る
巻きはじめと同様に、巻き終わりも中に閉じ込めるため、カッターで薄く削っておきます。
7:巻き終わりを処理する
先にカットしておいた2cmほどの籐を挟んで、最後2−3周巻きます。
籐を挟んでいた隙間に巻き終わり部分を引き入れます。
籐のかけらを外し、巻終わりをしっかり引っ張ったら、はみ出た部分をカッターで押し切ります
8:木工用ボンドを塗る
今回の徳利は店舗でわりと酷使するため、ボンドで補強しておきます。
水で少し溶いた木工用ボンドを籐を巻いた部分の全体に薄く塗り、数日乾かしておきます。
9:完成
つんつるてんだった持ち手部分に籐が巻かれました。
これで熱々の酒燗器に浸けても火傷の心配なく持つことができます。
巻くのは最初はちょっと難しいかもですが、1つ15分程度で仕上げられました。
錫の酒器の取手は籐が剥がれやすいですが、修繕の方法を覚えておけば長く使うことができますよ!