こんにちは!そしてはじめまして。
2021年3月から株式会社益屋に仲間入りしましたチアキです。
食べて飲むのが大好きですが、毎回食べて飲みすぎるので、なんとかその分をノーカウントにすべく、休日にはかならず運動することを己に課しております…!
そして日本酒の知識はまだまだこれから…。
益やのスタッフに追いつけるように、もっとたくさん飲んで(?)勉強します。
どうぞよろしくお願いします!
■益やの大切な勉強の場
さて株式会社益屋では、毎年いろいろな酒蔵へ訪問しています。
益やにとって酒蔵見学は、社員やアルバイトのみんなで訪問する大切な勉強会です。
しかしながらこの情勢から2020年は自粛、今年は現在の状況を鑑みて、コロナウィルス拡散防止対策を施した上で社員の有志のみで実施しました。
今回、この状況下に関わらず、酒蔵の見学をご快諾いただいたのは京都・山城の城陽酒造株式会社。
城陽酒造さまと弊社代表の益田とのひょんな御縁から、今回の勉強会が実現しました。
■城陽酒造株式会社について
城陽酒造は、1895年に創業した京都府南部・山城地域で唯一の地酒を醸造している酒蔵です。
当時は大量製造をされていましたが、時代の変化とともに製造量を減らし、現在は品質重視の酒造りをされています。
また毎年、酒造期の10月から3月に寒仕込みをされています。
そのため、今回訪問した時期は仕込みの時期ではなかったのですが、ご好意により、蔵の見学・設備のご説明・試飲のお時間までいただきました。
■ご案内してくださった方々
・代表取締役社長 4代目 島本稔大さま
・営業課長 大野さま
今回は、社長さま直々にご案内をいただきました。
■先代のお話し
お酒づくりは長い歴史があります。
だからこそ、古くからの決まりごとや凝り固まってしまっている部分も多くあるそうです。
でもそんな決まりごとやタブーのようなものを破るのは、お客さまの声だったそうです。
例えば、今では身近な生原酒。
それまできちんと火入れをしてこそ日本酒ができると信じられてきたなかで、お客さまからの声を取り入れたことで、生原酒も販売するにもいたりました。
また、本来は濾過・殺菌・火入れが当たり前だったところ、無濾過・手作業での湯煎による瓶燗火入れをされています。もちろんこれまでの歴史ある醸造方法も大事にされており、火入れをしてもフレッシュさを重視し、出来る限り新鮮な状態で瓶詰めまで出来るように管理されていらっしゃいます。
■蔵人の仕事
蔵には空調がなく、仕込時期の蔵内の温度は、ほぼ外気温とおなじとのこと…。
さらに寒い時期に作業されるため、杜氏さんを中心とした蔵人さんたちはとても厳しい状況下で作業されているとのことでした。
また、作業は毎日早朝4時ごろからはじまリます。
なぜそんなに早い時間からはじめるのかというと、「気温」です。
作業時間を少しでもズラしてしまうと、気温が上がり、酒造りに影響してしまうのです。
<蔵人の一日>
AM 4:00 蔵入
AM 4:30 仕込み開始
AM 7:00 仕込み終了
AM 7:30 朝食
AM 8:30 蔵の清掃
PM12:00 昼食
PM13:00 洗米など、明日の準備
PM18:00 作業終了
非常に容易なことを「朝飯前」と言いますが、蔵人のみなさんにとっては朝飯前のしごとが1日の中で最も重要で重労働な作業なのです。
ただ時代は変わりつつあるようで、このまま同じ方法を繰り返すのではなく、これからの課題として、持続可能な労働体制・環境づくりが出来るよう取り組まれているとのことでした。
■いよいよ見学
母屋にて酒造の歴史をお話しいただいたあと、いよいよ見学へ。
工程 |
ポイント |
精米 |
五百万石→祝米→山田錦の順で精米します |
洗米・浸漬 |
時間を計り、手間のかかる方法を取られています |
蒸米 |
唯一、休憩できる時間でもあります(…といっても1時間だけ) |
精麹 |
精麹室にて30〜34℃の米を29℃を目指して冷まし、麹菌を繁殖させます |
酒母づくり |
酵母を培養し、もうそれ以外のものは入り込まないくらいのレベルへと育て上げます |
仕込み |
タンクで発酵しますが、タンクによってスピードが違うため、杜氏の技が光ります |
上槽 |
熟成したもろみを搾りますが、搾りすぎないよう丁寧に行います |
火入れ |
ろ過はせずに火入れ(湯煎による瓶燗火入れ)に移ります |
瓶詰め |
搾りたてがすぐに瓶詰されます |
貯蔵 |
大型の冷蔵庫にて-5℃温度管理のなか、瓶貯蔵されます |
■素材へのこだわり
<米>
城陽酒造では、以下の酒米が使用されています。
・兵庫県産「山田錦」
・京都府産「祝」
・京都府産「五百万石」
・兵庫県産「愛山」
農家さんとの契約栽培の取り組みも実施され、高品質・安心・安全な酒米でお酒造りをされているそうです。
<水>
城陽酒造が位置する京都府南部山城地域は、非常に優れた地下水に恵まれた土地で、創業から今も変わらず、地下100メートルから汲み上げた1年を通しておよそ14℃の軟水を使ってお酒づくりをされています。
伏見の水の一般的な硬度は60〜70mgですが、この地下水は硬度18mgの超軟水!
蔵では現在も水道水を必要とせず、全ての作業にこの仕込水を使用されており、この素材なしではお酒作りはできないので、この水が城陽酒造の「重要な個性」だともお話しされていました。
■地元産の梅を使った長期熟成梅酒
1991年に梅酒の開発・販売を開始されました。
ただ当時は、梅酒は家庭で作るもの、というイメージが根強かったとのこと。
しかし城陽酒造があるエリアは梅の産地としても有名で、「城州白(じょうしゅうはく)」という希少な品種の梅を使って生産することで、徐々に“酒蔵仕込みの梅酒”として人気が出るようになりました。
毎年6月に梅酒づくりが始まるのですが、その期間はなんと2週間ほどだけだそうです。その短い期間内で、いかにして梅が傷まないように・品質を落とさないように…と梅酒作りが行われています。
漬け込み後は最低3年間寝かせて熟成し、ようやくわたしたちの元にとどきます。
■試飲タイム
最後はお待ちかねのお酒の試飲の時間です。準備いただいたお酒はなんと16種類!
ひとりひとつずつワイングラスを用意いただき、試飲しました。
徳次郎(とくじろう)4種
城陽(じょうよう)8種
・梅酒
城州(じょうしゅう)2種
青谷の梅(あおだにのうめ)2種
開封後に出る細かい炭酸ガスがとてもフレッシュで印象的でした。
この炭酸ガスは5℃以上で気化してしまうため、消えてしまわないように細やかな温度管理のもと製造されているそうです。
(試飲の時間内では、1本を飲み切ることができず残念!)
「城陽」はこのラベルの色みが印象的。
ただ大野さまが「今後、種類を増やすにも色みのバリエーションがむずかしくなってきた…」と、笑ってお話しくださいました。
また、ビンのキャップにもこだわっているとのことで、従来のねじ式のものでなく、栓を挿入するタイプの一升瓶用のものを取り入れたり、いろいろなあたらしい取り組みもされています。
そして普段梅酒を飲み比べる機会がないので、4種類もの梅酒をいただけるのはとても珍しく貴重な機会でした。
■最後に
お酒と料理のベストな組み合わせを考えながら食事を楽しむことを「ペアリング」といいます。
益や酒店・サケホール益やでも、おすすめの日本酒とそのお酒にあう料理やおつまみを紹介する場面も多くあります。
ただ、城陽酒造さまでは、あまりペアリングについてはお話しされないそうです。
「伝えることによって先入観を生んでしまうので発信しないようにしている」とお話しされており、とてもこまやかな気遣いとお酒への思いを感じました。
土地の恵みである水を個性として捉え、徹底的に品質管理し、新鮮さをそのまま生かす――何よりも品質を重視されている城陽酒造。
ぜひこれからも益やとのご縁が続くことを願って…。
(季節ごとの限定酒もあるのでまだまだ飲み足りません!)
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現在、ウェブでの発信にも力を入れておられるとのことでした。
ぜひご覧ください!
城陽酒造株式会社
住所:京都府城陽市奈島久保野34-1 TEL:0774-52-0003 ウェブサイトはこちら インスタグラムはこちら |
城陽酒造の4代目 島本さま、ご案内くださった大野さま、今回は本当にありがとうございました!